近年、アウトドア体験の新しい形として「グランピング」が急速に普及しています。手軽さと非日常感、そして豪華な設備を兼ね備えた点が支持され、サウナを導入するグランピング施設も増加しています。本記事では、サウナ未導入の施設運営者に向けて、導入に適したサウナの種類や費用の目安、そして法規制や安全対策などを詳しく解説します。
グランピング施設に導入されるサウナの2つの傾向
近年のグランピング施設では、サウナの導入形態として「プライベート型」と「共用型」の2つに大きく分かれ、それぞれ異なる価値を提供しています。施設のコンセプトや立地条件によって最適な選択が変わるため、導入目的に応じた設計が重要です。以下では、それぞれの特徴と事例を整理します。プライベートサウナの特徴
グランピング施設全体の傾向として主流となっているのが、客室ごとにサウナを設けるプライベート型です。他の利用客を気にせず、好きなタイミングで自由に利用できる点が最大の魅力です。非日常感やプライバシー性の高さから、とくに高価格帯の宿泊施設との相性が良いとされています。一方で、各客室に設置スペースを確保する必要があり、導入費用や維持費が共用型よりも高くなる傾向があります。
既存施設の改修では特に設計面の制約が大きく、料金設定とのバランスも重要な検討事項です。
共用サウナの特徴
共用サウナは「やむを得ず」ではなく、施設の強みを活かす戦略的な選択として導入されるケースが多く見られます。とくに敷地が広く、海・森・湖などの自然景観に恵まれた施設では、大型サウナを設置し、景観そのものを体験価値に変えています。
共用型のデメリットは利用の自由度ですが、その分、他では得られないスケール感や演出によって差別化を図ることが可能です。
グランピング施設にサウナを設置するうえでかかる費用
グランピング施設におけるサウナ導入費用は、設置方法や規模によって大きく異なり、数百万円から1,000万円以上まで幅があります。ここでは主な3つの導入パターンに分けて整理します。客室ごとにサウナを設置する場合
客室専用のサウナを設置する場合、比較的シンプルなボックス型であれば、工事費を含めて200万~400万円程度が目安です。手軽に導入できる反面、デザイン性や高級感に欠けると感じられるケースもあります。より本格的な雰囲気を重視し、ビルトイン型やオーダーメイド設計にする場合は費用が上昇し、250万~500万円程度が相場です。
設計費や施工費の割合が大きく、施設のコンセプトに合わせた柔軟な設計が可能ですが、その分コストも増加します。
共用サウナとしてバレルサウナを設置する場合
共用型のサウナとして人気が高いのがバレルサウナです。6~8名程度が同時に利用できるモデルでは、工事費込みで400万~600万円程度が一般的な相場となっています。設置にあたっては本体費用だけでなく、地面の整地も重要なポイントとなり、大型モデルの場合は最低でも30万円程度の整地費用が発生することが想定されます。
景観や体験価値を重視した設計が求められる点が特徴です。
大浴場にサウナを増設する場合
大浴場など既存の温浴施設にサウナを追加する場合は、規模にもよりますが1,000万円以上の投資になるケースが一般的です。とくに業務用としての設備強化が必要になるため、費用は高額になります。例えば、内訳としては以下のような構成が想定されます。大型サウナ室の建築・断熱工事に約500万円以上、業務用ストーブに150万円以上、水風呂やシャワー設備の給排水・ろ過装置に300万円程度、さらに内装やととのいスペースの造作に200万円程度が必要となります。
サウナを導入する際は法規制に注意
グランピング施設にサウナを設置する際には、デザインや費用だけでなく、各種法規制への適合が不可欠となります。想定以上に多くの手続きや制約が関係するため、事前確認が重要です。消防法(火災予防)への対応
サウナは高温のストーブを使用するため火災リスクがあり「多量の火気を使用する設備」として扱われます。そのため、消防署への届出が必要となるほか、消火器や自動火災報知設備の設置・配置変更が求められる場合があります。施設規模によって対応内容は異なります。
建築確認申請の必要性
サウナを新設する場合や、バレルサウナなどを屋外に設置する場合は建築物として扱われる可能性があり、建築基準法に基づく建築確認申請が必要です。とくに床面積が10m²を超える場合や、防火地域・準防火地域に設置する場合は、事前申請が必須となる点に注意が必要です。
公衆浴場法・旅館業法との関係
サウナを宿泊客以外の日帰り客に開放する場合は、公衆浴場法の規制対象となり、保健所の許可が必要になります。男女別利用が原則ですが、水着着用を条件とした混浴型サウナが認められるケースも増えています。ただし、判断は自治体ごとに異なるため、事前の確認が欠かせません。
一方、宿泊者専用として運用する場合は、公衆浴場法の許可が不要となることが多く、旅館業の付帯設備として扱われます。ただし、その場合でも設備追加に伴う変更届の提出は必要となります。