
近年、サウナブームの広がりとともに「ととのう」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし実際にどのような感覚を指すのか、どうすればその状態になれるのかを詳しく知る人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで、今回はサウナにおける「ととのう」の意味や感覚、そしてその状態に至るために大切なポイントを紹介します。
サウナにおける「ととのう」の感覚とは
サウナにおける「ととのう」という言葉は、サウナ・水風呂・外気浴を繰り返すことで得られる深いリラクゼーション状態を指します。もともとはサウナ愛好家の間で自然に使われるようになった俗語ですが、今では雑誌やテレビでも見かけるほど市民権を得ています。「ととのう」状態を言葉で表現するのは難しいですが、たとえるならば、身体は心地よく脱力し、頭は冴えつつも穏やかに静まり、目を閉じれば時間の感覚すら曖昧になる、そんな極上のリラックス状態に近いといえるでしょう。
よく「脳内に快感ホルモンがあふれ出す」とも表現されますが、まさにそのとおりで、自律神経のバランスが整い、交感神経と副交感神経が適切に切り替わることで、精神的にも肉体的にも深く癒されていく感覚が訪れます。
この「ととのう」感覚には個人差があり、「ぼーっとする感じ」「ふわふわするような軽さ」「静寂に包まれる感覚」と表現する人もいます。いずれにしても、心と体が一体化してリセットされていくような感覚であり、単なるリフレッシュを超えた「快感」ともいえる状態なのでしょう。
サウナでととのうための適切な身体の状態
サウナで「ととのう」ためには、サウナに入る前の身体の状態が非常に重要です。寝不足や空腹、脱水状態でのサウナは危険であり、逆に体調を崩すリスクがあります。ととのう感覚を得るためには、事前の水分補給が不可欠です。とくにサウナでは大量の汗をかくため、水やイオン飲料などでしっかりと水分補給をしておきましょう。
軽い食事と消化のよさ
サウナ前の食事も大切です。空腹状態だと身体の代謝が落ち、サウナの効果が十分に発揮されにくくなります。ただし、満腹も避けたいところです。理想は、消化のよい軽食をサウナの1~2時間前に摂ることです。清潔な身体でサウナに入る
サウナに入る前には、軽く身体を洗うこともおすすめします。清潔な状態で入浴することで汗の出方がスムーズになり、デトックス効果が高まります。洗い終えたら、全身の水滴をよく拭き取ってからサウナに入ると、汗が出やすくなり効果をより感じやすくなります。万全な体調が「ととのう」の土台に
体調が万全な状態でサウナに入ることで、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになり「ととのう」感覚に近づきやすくなります。いいかえれば、サウナ前の準備はととのいやすい土台をつくる重要なプロセスであり、これをおろそかにすると本来のサウナ効果を十分に得られない可能性があるのです。ととのいやすいサウナの入り方
ととのうための基本的な流れは「サウナ→水風呂→外気浴」の3ステップを1セットとし、これを2〜3セット繰り返すことが理想とされています。サウナで身体を温める
まずはサウナでしっかり身体を温めましょう。目安は5〜12分程度ですが、無理に長時間入る必要はありません。心拍数を参考にすると分かりやすく、平常時の約2倍の心拍数になったらサウナから出るタイミングです。自分の身体の声を聞き、「もう限界かも」と感じる前に無理なく楽しむことが大切です。水風呂で急激な温冷刺激を
サウナの後は、汗をシャワーで流してから水風呂に入ります。初めての方には冷たく感じるかもしれませんが、30秒〜1分程度で十分効果があります。水風呂による急激な温冷刺激が自律神経を活性化させ、血流が一気に巡り始めます。このとき、皮膚の表面に自分の体温で温められた水の薄い膜を感じ「意外とあたたかいかも」と思うこともあります。
外気浴で深いリラックス状態へ
最後に行う外気浴がととのう感覚の核心です。外気浴とは、外気に触れながら椅子やデッキチェアで5〜10分ほど身体を休める工程です。この時、β-エンドルフィンという鎮静物質が分泌され、副交感神経が優位になることで「頭の中が空っぽで時間が止まったような感覚」に包まれる人も多くいます。目を閉じて自分の呼吸に集中し、深呼吸をすることもリラックスを深めるのに効果的です。